サザエ、アワビの素潜り漁と資源の問題

07.30


毎年8月1日〜7日までの7日間、アワビ・サザエの素潜り漁が解禁となります。浜では『口開け』といいます。

しかし、2年前からアワビが激減しました。特にアカアワビの減少は急激で、様々な要因が考えられます。

1つはやはり、我々漁師が直接与えるインパクト。
『獲り過ぎ』です。
たった7日間の漁で獲り過ぎとなると、漁業資源として成り立たない事を意味します。

しかし、こんな過去もあります。
まだアワビが1日に数十㌔も獲れた頃、5年程前までは10日間の口開けでした。
10年程前、漁協の再建問題等で、13日間の口開けが行われた事もあり、9月に再度、10日間の口開けが行われた事もありました。(通常より高い販売手数料を設定し、再建資金に充てる計画)その9月の口開け期間中に、対馬の西側をかすめた台風により猛烈な東風が吹き、磯場の海藻は一面もぎ取られ、数mもある巨大な岩は転がり、地面は避けてしまいました。水面に浮かんで見る海底の激変は圧巻でした。そうなるとアワビもサザエも隠れ家がなくなり露わの状態です。捕獲者には好条件で相当な漁がありました。
その年の冬場にも海藻は回復はせず、冬場の鉾付き漁ででも大漁となりました。

やはりその直後からです。アワビが減ったのは。

それでも翌年には海藻は復活しました。野焼きの後のように更に生い茂りました。

しかしながら、ここ2年ほどは高水温などの影響でワカメやクロメなどの海藻も弱り、その高水温により活発になったアイゴやイスズミなどによる食害で海藻が激減しました。春のヒジキ漁も口開けさえできなかった地域もあります。

悪い条件が重ならなければ、我々漁師が与えるインパクトは微々たるものでしょう。しかし磯のバランスが崩れてしまった現在の状況では獲る行為と再生という「供給」が整わない状態となっています。
禁漁にして、アワビはともかく、まだまだ豊富な資源、サザエを取らなければ海藻は更に減少するでしょう。
それなら「サザエは獲ってもアワビは獲るな」となれば、誰も漁をしなくなります。わたしも遠慮させてもらいます。サザエの単価はクロアワビの20分の1なのです。1日必死に息止めてサザエを獲っても割に合わないのです。

各浜で、ムラサキウニの駆除をしたり、昨年から網をかけてイスズミ等を駆除したり様々に取り組みは行われたていますが、自然の狂った歯車を戻すには本当に微々たる行為でしかないようです。

潜ってアワビ獲る時の『罪悪感』を感じながら漁をする事は漁師として、とてもとても悲しい事です。
大きなアワビを見つけても、獲らなければ、秋まで待てば近くに隠れているアワビとペアリングして数十万個のアワビの命が繋がれるのでは。そんな気持ちではただでさえ苦しい素潜り漁は務まりません。そもそも漁師として務まりません。

そんなこんなで、昨年の素潜りは2日間で辞めてしまいました。

漁師が獲る行為により直接与えるインパクト。
温暖化によると考えられている海水の高温化。
それに伴う海藻の弱体化と南方系魚の採食活動の活発化。
全世界で行われる活発な経済活動による温暖化。
その影響でもある黄砂。海底に沈殿したその砂はアワビの稚貝の着床に害を与えているとの指摘もあります。

韓国から大量に輸入されている安いサザエの影響で国内のサザエの値段はここ二年ほど急落しています。
話題のマグロもノドグロも大漁に輸入されております。
市場だって、スーパーだって、そして消費者だって、同じ物なら安い物を欲しい事は当然です。

さて、今年も状況確認のためにも潜ってみようと思いますが、仕事をする心に揺らぎがあるなら、目先の儲けを追いかけず、自分に出来る事をしようと思っています。
ホームページでのCMも控えさせて頂いております。
サザエは沢山ありますので御用の方は御注文くださいね。

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